本来、実用ではなく、観賞用なのだけど、おかまいなしでガンガンと使っていた。(ごめんなさいっ)
京都タロットは、この夏に廉価版を作ることにしたので、やはり、アーティーさんのカードは観賞用に庵に飾ろうと思い立ち、向井さんとおっしゃる額装家の方のアトリエを訪れた。
向井さんは、フランス額装を本場で修行されて、フランスの国家資格をお持ち。今や彼女の教室は、どこも満席のご様子。
素敵なアトリエには、彼女の施した作品と、額見本が並べられていて、無造作に置かれているものまでが、何もかもセンス良く、美しく見えてしまうくらい。
はじめに大アルカナの二十二枚のカードをお見せすると、
「このカードは原画ですか?」とおっしゃって、印刷だと伝えると、「原画かと思った!」と驚かれていた。
「稲穂の宮は、5つのカードを、こんなふうに並べてもらって…」
と、イメージをリクエストしていたのだけれど、彼女の作品群を眺めているうちに、なぜか、そんなことは、どうでもよくなってしまった。
「…て、思ってたんですけど……やっぱり、すべて、向井さんにお任せします!」
突然の路線変更に、向井さんの方は、ちょっとびっくりされながらも、
「主役は『絵』ですから、ミケさんのイメージ通りでもいいですし、お任せしていただいても、どちらでも」
と、言ってくださった。
向井さんのイメージのままに額装してもらう方が、タロットカードが喜ぶ。
絶対、そう。
私の、この類の直感は、当たる。笑
大事なことは、カード達…たろうさんが、ヤマトが、イワナガヒメが、化野で途方に暮れる童子が、イザナミさんが……タロットの精みんなが、「喜ぶこと」。
そっちの方が、コンテンツやプロットに基づいた額装などより、ずっとずっと大事なことなんだと、なぜだか強烈に感じてしまった。
絵の魅力を最大限に引き出すのが額装。タロットの精たちにとっても、自分が素敵に見えるお家(額装)の方がええに決まってるやん!
私のこだわりで、あれこれ指示するより、センス良い、腕のある経験豊かな人が決めてくれた方が、何倍もいいに決まっている🤗
私のリクエストは極めて具体的。
「ひと月に〓万円。1つでもいいし、いっぺんに3つ4つでも構いません。向井さんが『この絵にはコレがいい!』と感じたまま演出してください」
『零,たろう』と『壱,いちひめ』のペアが、最初にうちの庵にやってくるイメージがあったので、まずは、『たろう』と『いちひめ』から額装してもらうことを指定した。彼らが、他のメンバーを庵に迎え入れる…という物語が、私の頭にある。
ただし、あとの製作順番は、すべて向井さんにお任せしようと、大アルカナ二十二枚を、この無二の額装家に託した。
実は、向井さんは、翌日からパリ旅行。額装を学ぶお弟子さん達の引率も兼ねてとのこと。
パリ旅行の前に、この打ち合わせを滑り込ませてもらえたことは、なんだかとてもラッキーなのではないかと思えてしかたがない。
向井さんの記憶の片隅に、京都タロットが潜んだまま、タロットの本場フランス入りされるなんて。💖
しばらく、大好きなカード達と離れてしまうのは寂しいけれど、彼らはきっと、私の選択を歓迎してくれるような気がするのであった。