ミケ的奇想 vol.1

2003年~2022年3月のアーカイブ

百合を感じる

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百合を見ていると、なぜか二人の祖母を思い出す。父方と母方の双方の。
強気で活動的ではっきりしたもの言いをする父方の祖母。
優しく上品で気弱な母方の祖母。
(二人とも他界していて、父方の祖母は98の大往生であった)
まったくタイプの違う二人の女性を、どういうわけか、百合を見ると連想する。
二人から百合が好きだと言う話を聞いたわけではない。ひょっとしたら嫌いだった可能性すらあるのに…。(百合の花の香りはかなり強いので、好き嫌いはあると思う)

そこのところをじっと感じると、あることを発見して驚いてしまった。
私は、実の祖母二人だけでなく「高齢の女性」全般に対して、「百合」を連想しているのだ。
いや、高齢の女性というより、さらに年と経験を重ねた「老婆」と言ってもいいような方々に対して。(なぜなら、70代の実母に対しては、まだ「百合」を感じないから)

「老婆」などというと失礼に思われるかもしれないが、「百合」の象徴を説明する際、やはり高齢女性というより「老婆」という言葉がより似つかわしい感じがするし、そこに、敬老の意(リスペクト)を込めたいと思う。それでも失礼に思われるのは不本意なので、高齢男性「翁(おきな)」に対する「媼(おうな)」という言い方に変えたい。

細かな分類をすれば、同じ百合でもさまざまな種があるとは思うが、一般的に百合は日陰にも強く、荒野にでも咲くと思われている。私の百合に対するイメージもそのまんまで「何があってもへこたれない強さ」を表した花。男尊女卑がまかり通っていた時代に「厳しい環境でも、自らを馴染ませ、存在を咲かせていた」そんな女の強さへの憧憬として、私は老媼に対して「百合」を感じるのだろう。

どちらかと言えば苦手だった百合の香り。
このことに気づいてからは、百合に手を合わせたい気持ちになっていた。

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