ミケ的奇想 vol.1

2003年~2022年3月のアーカイブ

母船からの麻酔

こどもを産むずっとまえ、たぶん10年以上前だったと思う。 わたしは、当時「宇宙人」にはまっていた。(笑) アダムスキーやらマイヤーやらの怪しげな本を読んだり、共通の趣味(笑)のある友人と集ったり、夫も宇宙人好きだったので、UFOを呼びに峠の山道まで出たりと、いろいろとやっている頃の話。 たぶん、当時のそういう思いの反映でもあったのだろう。 ある時、うつらうつら昼寝をしていると、突如、明晰夢状態に入っていった。 はっきり意識しながらの夢、ではあったが、ほとんど夢ではなかった。 その感覚は、現実の体を横たえている感覚にそのまま意識があり、どちらかというと金縛りに近い感じ。 ただし、金縛りのように動けないわけではない。 超意識?状態のような感覚で、感覚が冴え渡っていて、何やらエネルギーがザブンザブンと肉体を通り抜けている。通常とは違った冴えた意識だった。 だから、決して動けなかったわけではなく、わたしは好奇心から「動かなかった」のである。 昼間だったが、窓の外が急に一層明るくなった。 宇宙人にはまっている真っ最中の頃だったので、大いに影響を受け、 「こ、こりは、外に母船がある!」 という強烈な感覚に見舞われた。 光の川ともいうべき鋭い感覚が全身にざあざあと流れ始めた。 川が全身を流れるほどに鋭敏になってゆくのがわかる。 わたしは、とっさに、外に停泊している母船からのエネルギーだと思った。(^^;) そのエネルギーは口元でなぜか「指」に変わった。 そして、その指が、今度は口の中から上顎を押し始めたのだ! で、で、出っ歯にされる!!! その指は、ぐぅううと力をこめて、歯の裏から上顎を押し続ける。 ぎゃーーっ!出っ歯になる、出っ歯になる!! この感覚を祓うのはたやすいことだったが、しかし、出っ歯にされる恐怖より、このあとどうなるんだろう?という純粋な好奇心の方が勝ってしまった。(^^;) そんなふうだったから、上顎を指で押されながら、ささやかな心の抵抗はいつのまにか、 「できれば、出っ歯にしないでください‥‥」 などという気弱な祈りに変わり、わたしはその指に全面的に身を任せることにしたのであった。 その後、5分くらい出っ歯の儀は続いたであろうか。 その手がそっと離れると同時に、『完了しました』 と言う声を確かに聞く。 わたしが「何を完了したん?」と問いかけても答はなく、全身に流れていた超感覚は母船の方に、ふぅっと消えていった。(気がした‥‥^^;) しかし、わたしの口の中には矯正金具があるような、出っ歯感がしばらく続き、当時、何度も鏡を見ては、出っ歯になっていないかを確認していたものである。 もし突如、ひどい出っ歯になった時、その理由を「母船からエネルギーがやってきて、歯の裏を押されて出っ歯にされてしまった」なんて言ったら最後、どこに連れていかれるかわからない。 あの超感覚は、地球次元でいう「麻酔」みたいなものかもしれないとも思える。 地球の麻酔は、感覚を麻痺させられるのだが、母船からの麻酔は(って決めつけている‥‥^^;)感覚を鋭敏にされる。 あれは何だったんだ?と思わないこともないが、あれからも相変わらず虫歯にもなるし、その後、ヤブ医者に前歯を差し歯に変えられてしまったもので、今となっては、なんだか、もうどうでもいいのであった。

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