蓮モチーフの表もさることながら、心が惹かれたのは、裏のぽってりした丸み。
めったにない一目惚れ。
柔和なエネルギーだけど、触れると翡翠のマッタリした感じが伝わるとM先生。
欲しいけど……うーむむと悩む。
写真を見ただけで、腹痛がすっと引いた。
偶然かもしれないけれど、「ミケさんと波長の合いそうな」とおっしゃっていたのがわかる気がした。なんでも相性があるし、バチッと合えば、それは、ご縁。
腹痛が治る相性って…。笑
………
めったにない、七夕の晴れ。雲ひとつない夜空。
マイノートという自由宿題で、七夕をテーマに選んだボン。
近所のお寺の境内まで、織姫と彦星を見にいった。
ベガとアルタイルとデネブ。
南東よりの天高く、夏の大三角形を描く星々。
ベガとアルタイル…二つの星に、短冊を振って祈る。
天の川は、都会では明るすぎて見えない。
でも、今年は晴れる…と、なぜか、ずっと感じていた。
今年は、晴れると。
西には、月が明るい。
……月読さん。
この前、ひらりと神棚から落ちてきたばかり。
………
七夕テーマのノートを書き進めるボンは「夜」という文字を間違えるので、お手本を見せようとメモの缶を開けた。
そこには、紛失したと思っていたキフィが、メモの缶の中で、貝の小皿の上に乗っていた。
今夜こそ、焚く時だ。
もし、紛失していなかったら、きっと、すでに使ってしまっていたはずで、今夜、焚くことは、できなかっただろう。
クレオパトラが愛したというキフィを、そして、
のちの信長が取り寄せたというキフィを、今夜、焚く。
お手製の、妖しいキフィ。
今は生産されていないという、和紙の端紙を切り揃えて、メモとして缶の中に入れている。
水の中のような淡色の和紙に「夜」と書いて、ボンに手本を見せた。
七夕、月夜、織姫、彦星、キフィという手作りのお香。
「翡翠さんを、うちにお招きしてもいいですか?」
たろうさんに尋ねる。
『六、ムスビ』が出た。
睦み合う男女の美しい絵は、今日に限っては、ようやく出会えた織姫と彦星を彷彿とさせた。
M女史とM先生に、翡翠さんを迎え入れたいと告げる。