ミケ的奇想 vol.1

2003年~2022年3月のアーカイブ

赤い服を着た俳優の夢から剣の宮への考察

たいへん、ご無沙汰してしまいました。ゆるゆると再開します^^ 今年1回目の投稿は、ある夢見から、京都タロットについて考察するお話です。

映画のワンシーンと思しき場面を見ている夢を見ました。 全身、真っ赤っかな服を着た古谷一行が胸を刺され、彼が「これは鬼龍院か」と切りつけた相手に尋ねます。相手は「違う、矢音(やおと)だ」と答えます。 互いに不思議な顔をして見合わせる二人。 矢音なら致命傷を受けるはずなのに、どうやら自分は助かっているということのようです。討った方も討たれた方も、あれ?という感じなのです。 その時、矢音を受けた誰かが後ろの方で倒れた気配がしました。 二人とも、何が起こったかよくわからないという感じです。 この同じシーンが3回繰り返されるという変わった夢でした。 リピートする夢なんて、そうそう見るものでもないですし、真っ赤な古谷一行の衣装も印象的すぎて、これは注目すべきだと夢の世界から言われているようでした。 ... さて「矢音」とは、この夢では、刀の名前ですが、一般的には、刀を振り下ろした時の音の表現として使われることが多いように思います。 (こんなふうに言うと、私が普段から、このようなことに詳しく、よく考えている人のように思われるかもしれませんが、この夢を見るまで、ただの一度も、刀の種類や名称、あるいは「矢音」という表現について考えたことも、脳裏をかすめたことすらなかったということを、付け加えておきたいと思います。また古谷一行さんのことも、金田一耕助役で知られていることと、MEGUMIさんのお舅さん(笑)というくらいのことしか知らず、特に考えたこともなかった俳優さんです) 最初に思い浮かんだことは、京都タロットの宮(スート)のひとつ『剣』について示唆を受けたのではないかということです。 『剣の弐』の背景は赤色です。 『剣の参』の背景は青系ですが、剣の弐の背景と同じ赤の格子の模様がほんの少しだけ使われています。 つまり、この二枚は繋がりとして見るべきでしょう。(いや、この2枚だけでなく、すべてのナンバーは繋がって並んでいるのですが) 剣の弐は、最初の二人を暗示します。古谷一行と刺客の男性です。 そして剣の参。これは、場面には直接出てきませんでしたが、矢音で切られた3人目の「だれか」を暗示しています。 このように見ればわかりますが、この2枚は『矢音』という一つの軸に貫かれているのです。 私は、前にこの2枚の解釈で、 剣の弐には『折衷案を探る、歩み寄り。新しい考えを招き入れる』 剣の参は『行き詰まる。心が乱れる』という意味を付していました。 この解説では、剣の参は、否定的な意味合いの強いカードであったわけですが、実は、必ずしもそうではなく、かつての何らかのアクション(@矢音)が、意図ではないところに爪痕を残していることを知ること。または、伐られた側(古谷一行)から見れば、ある種の「身代わり」という守りがあることも語っているように思うのです。

ここまでまとめて気づくことは、あの夢は、メジャーカードの『拾伍、オロチ』、さらに『八、エンマ』のことではないかということです。 三の数が三回リピートされることは3×3=9と考えられなくもないですが、私は三進法を連想してしまいました。 三進法で3ずつ繰り上がって3回目の数字は、馴染みのある十進法で言えば「8」にあたり、さらに三進法でなら「22」です。そう、22はメジャーカードの枚数で、8はエンマでもあり、ヤマタノオロチ(八岐大蛇)を連想させる数字でもありますね。 『拾伍 オロチ』はヤマタノオロチ伝説をテーマにしましたが、そういえばオロチのスサノオノミコトも『八、エンマ』の閻魔さん≒小野篁も赤い着物に身を包んでいますし、なんだか夢の中の古谷一行ともリンクしていますね。さらに、古谷一行が最初に『鬼龍院』かと刀の名を尋ねていました。鬼龍という言葉は、まさにオロチっぽいです。

……なんだか、かえって、ややこしく感じてしまったらごめんなさい。

(前に書いたことがあるかもしれませんが、私は、あの2枚のカードに繋がりを感じていまして、それをどのように説明したらいいのかを、ずっと考えていました。…なので、夢の世界の私が、あの手この手で解説してくれたのだろうと思えます。) あの剣の2、3の2枚が「矢音」という軸に貫かれていると先ほど書きましたが、実は「矢音」という軸は、あの2枚だけではなく、すべての剣の数カードを貫いており、さらに8と15を含めた剣の宮全体を象徴したものではないかということです。

また、日本人にとっては特に、「三」というのは、とてもメジャーな数字で、ラッキーナンバーにしている人も多いのではないかと思います。 3本の指に入るという言い方もあるように、日本三大〇〇など、3つの立派なものを並べ称したりもします。 そんなあれこれを考え合わせながら、あちらのブログで書いた、三叉槍という三と剣(槍などの武器)のシンボルを考えてみますと、わかりやすいように思います。 3つの槍は、致命傷を負わせるほどの強い力を持ちながらも、強い守りにもなっているということです。 ...

◉『拾伍,オロチ』の伝えたいこと

三種の神器の一つ、『草薙の剣』がふと浮かびました。攻めも守りもあるという、ヤマタノオロチ伝説でのスサノオノミコトが見せたような、闘う人の本当の強さを示すシンボルが三と剣の組み合わせにはあって、それが、草薙の剣として象徴されているように思えました。もちろん、その剣先が三又になっているって意味ではありませんけれど。 草薙の剣とは、きっと、あの夢で例えるのなら「矢音」のこと。先ほども書きましたが、刀を振り下ろした時の音を「矢音」というように、草薙の剣というのは、実体があるというより(熱田神宮に存在すると言われていますが、そういう意味ではなくて)、その神がかり的な勢いや強さを象徴する名前。 数カード『剣』の弐から参に現れているのは、行き詰っても、折衷案を探り、一致点を見出すなりして、新しいアイデアを見出したり受け入れたりすること。剣の宮は、とどのつまりその繰り返しであろうということです。 タロットの15番といえば、ネガティブな意味合いが目立ちますが、実際は守られており、うまくいっていることも、それゆえ遊び心を持って闘いに挑むことも、京都タロットの絶対肯定性として、伝えたいところだと改めて思ったわけです。

◉『八,エンマ』の伝えたいこと

エンマは剣の宮全体の統括カード。オロチで見つけた『草薙剣』は、ここでは『閻魔さまの尺』として現れています。裁くことは、伐ることに同じ。もしくは、直接伐ることなく、裁け(判断せよ)と、閻魔さまの透徹した眼差しこそ、この宮で望まれていることだと教えてくれているわけですね。それゆえ、剣の宮(Sword)は「思考」を担っているとされているのです。 剣の宮を貫いているとした『矢音』。やはり、草薙剣そのものですね。音で『実体』を感じさせるのですから。そもそも幻でしかない世界を、できるかぎり適切に捉えるという力。矢音とは、まさに思考の力です。

さてさて、そんな京都タロットのことを、これからも思うままに綴りたいと思っています。西洋タロットを踏襲している面もありつつも、かなり違うものでもあるとも言えます。楽しんでお読みいただければ嬉しく思います。

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