ミケ的奇想 vol.1

2003年~2022年3月のアーカイブ

鬼から角を取る作業、趣深き「鬼子母神堂」へ

次は「雑司ヶ谷行くのならぜひ」とお薦めがあった場所、鬼子母神堂へ。Yさんによると、鬼子母神堂の鬼子母神様は良い神様なので、鬼の上のツノはないそうです。Yさんが以前にこちらの関連のお仕事をされた時に、ツノのない鬼という存在しない漢字を創るために、鬼からツノを取るというデザイン上の作業を、一文字一文字していたとうかがいました。

「鬼から角を取る作業」 ほぉお〜。たいへんシンボリックな作業ですね。笑 聞くだけで、なかなか骨折りだったとお察ししますが、Yさんにとって、何かしらの象徴的な出来事があったかもしれない…などと思ってしまいました。勝手な想像に過ぎませんが。(^_^;) 鬼子母神堂のリーフレット。やはりツノがない。 昔からのブログの読者の方はご存知かもしれませんが、実は、私は鬼子母神がかなり好きでして、それは、幼児を食らうという悪行ゆえの深い絶望を味わってからの復活劇として、さらにそこから女神にまで精神が昇りつめて行くというものに、シンパシーを覚えるから(子供を喰らったことはありませんが;)。「聖なる」だけではない、骨太の典型的母神像を感じます。娼婦から聖女へと昇華される、マグダラのマリア的な女性像も重なって見えます。「心から改悛する」姿、テーマに深く心を惹かれる何かがあるからです。その点から考えますと、Yさんの「鬼から角を取る作業」というものの本質がなんとなーく垣間見れる気がしました。もちろん、そんなことを意識しながら仕事をされていたわけではないはずですが。 さて、鬼子母神堂さん。結果から申しますと、すんごいところでした。 日曜日だというのに人も少なく、大都会の喧騒のそばにいるなんてとても信じられませんでした。ご紹介したい気持ちと、あまり人だかりにはなって欲しくないような、複雑な気持ちになるくらい、個人的にはとても好きなところでした。 また、長々と書くのもしつこいので、写真で通り抜けようと思います。 まず、都電荒川線で一駅の移動。街中の電車なのに、のどかな雰囲気がありますね。関西圏のPitapaカードも使えました^^。清潔で空いているのが、心地よかったです。 前から乗って先払い、後ろから降りる…というシステムは、京都のちょうど逆なので、意識していないとポカをしてしまいます。エスカレーターの左待ち、右待ちも、関西の真逆ですし、東西間の違いって興味深いですね。

鬼子母神前駅で下車。 参道の大門けやき並木の通りを通過して、鬼子母神堂に参ります。 参道は「産道」が由来という話を聞いたことがありますが、参道に入った途端、まさに!という雰囲気になります。長い道ではないのですが、木立で鬱蒼としています。でも、おどろおどろしい感じはなく、むしろ清潔で、住宅街の中であることがわかりますが、なかなかの高級感のあるところです。京都でいうなら「北区小山」っぽい。(京都人しかわからん?いや、レアすぎて京都人でもわからんかも…笑) 否応なく、ワクワク感が高まってきますよ。

参道を曲がると、お堂が見えてきます。 ろくに下調べしなかったもので、内心、もっと小さなお堂を想像していたのですが、いやいや、もう、大きなお寺でした。失礼いたしましたです。

お堂の中です。どなたかのお祓い中で、銅羅が鳴りお経がこだまして、風情がありました。 私も、鬼のツノをとって育児ができますよう…と祈りました。笑

境内にある樹齢700年という御神木の大公孫樹(おおいちょう)は東京都指定天然記念物だそう。私は、北欧神話ユグドラシル世界樹)が脳裏に浮かびましたよ。ユグドラシルは宇宙の中心で、世界全体を包括しているとされる神話上の大樹なのですが、いかにも、そんな感じでしょう。 まだまだ見所の多いお堂ですが、雑司ヶ谷編はここまでです。ここまでお読みくださった方、ありがとうございました。 ちなみに、このお堂のあるお寺の正式名称は威光山法明寺というようです。 また、この辺りは七福神めぐりもできるようなので、散策しながら回っても良さそうですね。 何がいいって、先ほども書きましたが、どこにいっても混雑している東京の街中なのに、驚愕の人の少なさ。(笑) 一人でもせかせかせずに、ゆっくり、ゆったりと巡ることができる素敵なところでした。^^

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