ミケ的奇想 vol.1

2003年~2022年3月のアーカイブ

湯船の中と、寝る前と

私は、神社仏閣巡りが最大の趣味で、趣味が高じて仕事になってしまったくらいの本格的な趣味だけれど、振り返ってみても、なぜ自分が社寺好きなのかについてはよくわからない。

父も母も、特にそういうわけではないので、年に一度の家族旅行の時も、社寺巡りをしたことなど、ほぼなかったように記憶している。

あえて因を探るなら、祖母はたいへん信仰心が篤く、良くも悪しくも信仰に人生を捧げて来たようなところがあった。

(その反発もあってか、父は、特に神仏を信じないようなところがあったようだ)

幼い頃は、おばあちゃんとお風呂に入ることがたびたびあり、おばあちゃんは湯船に浸かると必ず「極楽じゃ〜、極楽じゃ〜」と、手のひらにすくったお湯を天に掲げてありがたがっていた。

めったになかったが、何かの時に、祖母と同じ部屋で寝ることがあって、私たちが眠りに就く時は、必ず、何かを祈っていたのが、薄ぼんやりした記憶の中にある祖母の姿である。

その影響があるのか、ないのか、意識的ではないが、私も幼い頃から現在に至るまで、湯船の中と寝る前には祈る習慣がある。

私の場合、特別な信仰があるわけでは全くないので、非常に個人的で下世話なお祈りの「ついでに」、世界平和を祈っている。これでどうにかなるとは、もちろん考えてはいないけれど、もう幼い頃からの習慣なので、祈らないと気持ちが悪い。

私が祈っている姿は、娘は昔から見ているはずだが、現在ハタチの娘は、特に、そういう風には育ってはいない。これは、単に個人的な習慣であり、癖みたいなもんなので、娘に祈りを強要するつもりは微塵もない。

しかし、面白いことに7つの長男の方は、いつの頃からか、祈りが習慣づいている。湯船の中と、寝る前と。誰に、言われたわけではないのに。

一体、彼が何を祈っているのか、誰も知らないのだが。

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