ミケ的奇想 vol.1

2003年~2022年3月のアーカイブ

みかん小僧

[h2vr char="17"]

 スーパーのみかん一袋に一人はついてくる、薄緑色の顔のあのみかん小僧のことだが、わたしには彼が天使に見える。    その異様な顔色の悪さと、みかんの「まずい汁」ばかりを好んですすっているので、みんな気持ち悪がって、彼を見つけると、すぐにつまみだしてしまうけれど、よく考えてみて欲しい。みかん小僧がいなかったら、わたしら人間は、みかんに見向きもしなかったはずだ。    だいたい、あの顔色の悪さは、まずい汁を飲んでいることに起因している。彼が、その汁を飲まなかったら、みかんはオレンジ色ではなく、あの顔色のごとく薄緑色をしていたはずだ。みかん小僧がその汁の飲まなかったら、みかんは美味しくはならない。     まあ、確かに、彼も、あのまずい汁が好きで好きで飲んでいるわけだから、特に恩を感じる必要はないのかもしれないが、だからこそ、お互いに、気を遣わなくていいはずなんだ。     みかん小僧をルシファーだなんて言うのは、人間の勝手だと思うよ。さっきも言ったけれど、わたしには、彼が天使に見える。     え?みかん小僧を知らない?     ‥‥良かった。     今、言ったことは、ぜんぶ、忘れてください。    [/h2vr]

©mi-ke All Rights Reserved.